日本国民の10人に1人が悩まされている症状が腰痛です。
その原因の筆頭とも言われているのが«腰椎椎間板ヘルニア».
ある研究では腰痛の約5%が腰椎椎間板ヘルニアが原因とされています。
今回はこの腰椎椎間板ヘルニアについてその原因とその予後、そして保存療法について書いていきます。
ヘルニアってなに?
ヘルニアとは日本語で身体のある一部分が、本来あるべき場所から飛び出してしまった状態を言います。
食道や腸でも「食道ヘルニア」「腸ヘルニア」と呼ばれる状態があります。
椎間板ヘルニアとは?
背骨は24個の骨(椎骨)が連なって構成されています。その椎骨と椎骨の間にあるのが椎間板で、
椎間板はクッションの枠割をしています。
椎間板は中心に髄核、その周りを線維輪と呼ばれるコラーゲンを含む組織から成りたっています。
このうち中心にある髄核が何らかの原因によって後方へ飛び出ししてしまうことを椎間板ヘルニアと言います。
椎間板ヘルニアの好発部位
椎間板ヘルには頸椎(首)と腰椎(腰)が好発部位となっています。
背骨は上から頸椎(7個)・胸椎(12個)・腰椎(5個)があり胸椎は肋骨とも関節でつながっていることもあり、構造的にも強い状態にあります。
それに反して頸椎・腰椎は他の部分との関節が無いためもともと構造的に不安定な状態にあります。
この不安定さが椎間板へのストレスにつながり椎間板ヘルニアを起こしやすい要因の一つになっています。
好発年齢
20~40歳で男性に多く発症します(男女比2~3:1)。
特に運送業や金属・機械業などの肉体労働が多い職業の男性に発症しやすい傾向にあります。
椎間板ヘルニアの診断基準
椎間板ヘルニアの診断基準は2つあり画像による診断と神経症状の検査による診断があります。
画像診断
画像診断はレントゲン、MRI画像によって髄核が飛び出ているかが診断基準となります。
特にMRI画像は有効的な診断基準となります。
神経症状診断
神経症状の診断にはいくつかありますが代表的なものとしては下肢進展挙上検査・筋力・感覚検査があります。
そのほか自覚症状として腰痛や足の痺れなどの確認します。
椎間板ヘルニアの症状として特徴的なものが坐骨神経痛です。
坐骨神経痛は飛び出したヘルニアによって神経が圧迫されることによって、その神経の走行に沿った痛みやシビレなどの症状が出てきます。
これらの症状によって
◆横になると痛くて眠れない
◆立っていると5分も立たないうちに激痛としびれに襲われる
◆歩くのも2~3分毎に休憩が必要
といったような生活に支障を感じるような状態にまでなっていきます。
私の椎間板ヘルニアは手術が必要?それとも・・・
手術の判断は整形外科医が画像上のヘルニアの状態や神経症状検査、本人の自覚症状から重症度を判断して決定されます。
この記事を読んで頂ている方の中にも手術を勧められた方もいらっしゃるのではないかと思います。
でも、もしかしたらこんな疑問も感じたりしていませんか?
◆手術と言われたけど全然痛みが落ち着いてるときもあるんだよなぁ
◆朝、起きるときは激痛だけど動いていると気にならなくなってくる
◆立った姿勢は痛みが強いけど、座ると痛みが和らぐ
と言ったように姿勢や時間帯、動きはじめだけなど、
痛みや痺れがなどの症状に変化が出ることはありませんか?
あなたの椎間板ヘルニアの症状がこのような状態だとすれば
手術をしなくても済むかもしれません。
その理由を下に書いていきます
姿勢によってヘルニアの状態は影響を受けない
ヘルニアは姿勢によってもとに戻ったりしないという点です。
姿勢が変わっても飛び出したヘルニアは飛び出したままのはずです。
もし、姿勢によってヘルニアの状態に違いがあるのなら
楽な姿勢と痛みが強い姿勢の画像診断等をしなくてはならないはずです。
それに日によって痛みが和らぐときがある場合は、あなたの身体その状態を
維持することが出来れば痛みや痺れに悩まされる必要は無いと思いませんか?
反対にどんな姿勢をしてもいつも痛みが一緒、一日の中でも痛みが常に同じと言う方は
整形外科を受診し医師に相談するようにしてください。
症状が出ないヘルニアの状態もある
こちらの研究結果は痛みや痺れの症状が無い健常者を無作為に選んでMRI画像を撮影した結果です。
この結果から健常者でも椎間板の異常がある方が多くいらっしゃることがわかります。
つまり椎間板の異常と痛みや痺れが直結する問題ではない可能性がここには示されています。
痛みの原因として考えられるもの
姿勢や日によって痛みに差があり、画像上の問題が痛みに直結しないとすると何が原因として考えられるのか?
それが筋肉の状態です。
身体の筋肉がある一部分に強いストレスがかかるなどすることで身体の筋肉の緊張バランスが崩れます。
例えば、一日中右側の足だけで立っていると仮定してください。恐らく多くの方がほんのわずかな時間で右足の筋肉が
こわばってきて、それを超えてくると徐々に痛みを感じるようになるはずです。
本来両足に均等に体重を乗せたり、片側の足が疲れてくると反対の足に体重を少し多めにかけたりして
筋肉の緊張バランスが大きく崩れないように調整しようとするのですが、ほんのわずかの筋肉の緊張バランスの崩れが
長期的影響を及ぼし、あるタイミングで一気に痛みなどの症状として出てくるのです。
このような筋肉の緊張バランスの崩れを整えていくためには一部分にかかっている負担を取り除くことと
一部分に負担がかからにような立ち方、歩き方などの動作方法の獲得が必要となってきます。
当院でお伝えしている筋肉の緊張バランスを整える立ちあがりの方法
筋力トレーニングや柔軟体操など色々指導されたけどなかなか継続できないという方もいらっしゃると思います。
そんな方のために当院では日常生活で当たり前に行っている動作の中で身体の使い方を整えていく方法をお伝えしております。
その1つが経ち座りの方法です。
今回は椅子からの立ち座りと床からの立ち座りについて説明していきます。ぜひ参考にしてみてください
椅子からの立ちあがり方法
まずは椅子からの立ち上がり動作についてです。
左の写真は腰痛や足の痺れがある方の特徴的な立ち上がり方です。腰が反って股関節がうまく使えていないため曲がりが前えの曲がりが浅いのが分かります。
右の写真は当院でアドバイスする立ち上がり方です。股関節がうまく使えているため身体が前方へ深く曲がっており、腰が反っていないのがわかります。このような立ち上がり方を行うことで腰への負担が少なくなり、結果として腰痛や足の痺れを落ち着かせる効果的な動作になってきます。
床からの立ちあがりの方法
次に床からの立ち上がり動作についてです。
正座からお尻が浮いてくるタイミングの動作です。
左の写真は腰痛や足の痺れがある方の特徴的な立ち上がりですが、椅子からの立ち上がり動作と同じように、股関節が深く曲がっていないために腰が過剰に反ってしまっています。右の写真では股関節がうまく使えているので、上半身が深く前方に曲がってお尻を浮かせてきているのが分かります。
このようなちょっとした姿勢や動作の修正で症状が落ち着くことも多くありますので是非、取り入れてみてください、
いかがでしたでしょうか?
腰椎椎間板ヘルニアの場合、症状の重症度によっては確かに手術が必要な時もあります。しかし症状の状態によっては手術をしなくても
痛みやしびれなどの症状を落ち着かせ、出来なかったことが出来るようになることも多くあります。
できれば手術をせずに元気になりたいと誰もが思っているはずです。しっかりとご自身のお身体を向き合って今後の方針を組めて言ってくださいね!!
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