「学校でちゃんと座れているかな」
「重いカバンを背負って、つらくなっていないかな」
お子さんが側弯症と診断されると、家にいない時間のことまで心配になりますよね。伊丹市で側弯症のお子さんを見ていると、学校生活について相談を受けることがあります。
ただ、心配だからといって、ずっと背筋を伸ばすよう言い続けるのは、本人にも親御さんにも負担になります。
僕が先に確認したいのは、**その子が楽に座れて、必要な時には姿勢を変えられる環境かどうか**です。
今回は、学校で見直したい5つのポイントをまとめます。
目次
学校での工夫と、側弯症の進行管理は分けて考える
まず、思春期に多い特発性側弯症は、姿勢の悪さや重いカバンが原因で起こるものではありません。「きちんと座らせなかったから」と、ご家庭で責任を感じる必要はありません。[参考:米国整形外科学会「思春期の特発性側弯症」](https://www.orthoinfo.org/diseases–conditions/idiopathic-scoliosis-in-children-and-adolescents/)
これから紹介するのは、学校での疲れや不快感を減らすための環境づくりです。机や椅子を変えればカーブの進行を防げる、という意味ではありません。
経過観察や装具療法など、主治医から指示された診療は続けながら、日常の困りごとを一つずつ減らしていきましょう。
① 机と椅子は、セットで高さを確認する
椅子に座った時、両足が床に無理なくついていますか。机に腕を置くために、肩を持ち上げていないでしょうか。
足元に支えがなく、机も身体に合っていなければ、「姿勢を良くして」と言われても、落ち着いて座るのは難しいものです。
足裏を支えられる高さ、膝の裏を圧迫しない座面、肩をすくめずに腕を置ける机。この組み合わせを確認します。[参考:NHS小児作業療法「Getting Seating Right」](https://childrenscommunitytherapies.uhb.nhs.uk/wp-content/uploads/GettingSeatingRight.pdf)
椅子を低くすると、今度は机が高く感じることもあります。片方だけを変えず、学校の先生と一緒に調整できると安心です。
足が届かない場合は、安定した足台を使う方法もあります。持ち込みは学校に相談し、本を積んだだけのぐらつく台などは避けてください。
## ② 「良い姿勢」を続けるより、動ける機会をつくる
授業中、ずっと同じ姿勢を保つことを目標にしなくて大丈夫です。
休み時間に立つ。次の教室へ歩く。座り直す。まずは、こうした自然な動きの機会を大切にしてください。子どもの座りやすさへの支援でも、座る時間の前後や途中に動く機会を設けることが紹介されています。[参考:NHS「Sitting position and posture」](https://www.bedslutonchildrenshealth.nhs.uk/services/bedfordshire-and-luton-childrens-occupational-therapy-service/sitting-position-and-posture/)
「背中が曲がっているから、ずっと真っすぐに」ではなく、「同じ格好でつらくなっていないかな」と見てあげる。
肩や腰を無理に左右同じ高さへ合わせたり、痛いのに胸を張り続けたりする必要はありません。
③ カバンは、普段の荷物を入れた状態で見る
空のリュックが合っていても、教科書やタブレット、水筒を入れると、背負い心地は変わります。
両方の肩紐を使い、痛くない範囲で身体に沿うよう調整します。背負った時に大きく前へ傾く、肩がつらい、下ろした後も痛みが残る場合は、まず中身を減らせないか確認しましょう。学校に置ける教材があるか、先生へ相談するのも一つです。[参考:米国整形外科学会「Backpack Safety」](https://www.orthoinfo.org/staying-healthy/backpack-safety/)
大切なのは、見た目だけで「正しい背負い方」と決めないことです。「通学の途中でどこかつらくならない?」と、本人の感覚も聞いてみてください。
④ タブレットや教科書を、見やすい位置へ
顔が教材に近づいている時も、すぐ「背中を伸ばして」と注意する前に、机の上を見てみてください。
画面の文字が小さい。光が映り込む。ノートを置く場所がなく、身体をひねって書いている。そんな使いにくさがあるかもしれません。
読む時はスタンドで角度をつける、書く場所を空ける、文字を拡大するなど、授業に支障のない範囲で相談します。書く時まで、ずっと顔を正面へ向ける必要はありません。
文部科学省も、端末利用時の健康への配慮を学校と家庭で共有し、適宜画面から目を離すよう案内しています。これは目などへの負担を考えた工夫で、側弯症の治療とは別のものです。[参考:文部科学省「家庭と連携した児童生徒の健康への配慮」](https://www.mext.go.jp/studxstyle/skillup/18.html)
⑤ つらくなりそうな時、休み方を相談できるようにする
「授業が終わるまで我慢しないといけない」と思っている子もいるかもしれません。
長く座るとつらくなる場合は、姿勢を変えたり、短時間立ったりする方法を、担任の先生や養護教諭と事前に相談しておくとよいと思います。
例えば、こんな伝え方です。
> 側弯症で通院しています。本人が「長く座ると背中がつらい」と話しています。授業中に座り直したり、必要な時に短く休んだりする方法を相談できますか。
これは相談文の一例です。実際の症状と、主治医からの指示に合わせて伝えてください。
痛みが繰り返す、しびれが出る、授業に参加できないほどつらい時は、環境調整だけで済ませず医療機関へ。急に力が入りにくくなる、歩きにくくなる場合は、速やかな受診が必要です。[参考:米国整形外科学会「Back Pain in Children」](https://www.orthoinfo.org/diseases–conditions/back-pain-in-children/)
子どもを注意する前に、過ごしやすさを聞いてみる
今回の5つを、一度に全部変える必要はありません。
まずは「学校で、どんな時が一番しんどい?」と聞いてみてください。特に困っていないなら、毎日姿勢を細かく確認し続けなくても大丈夫です。先生へ伝える内容も、できるだけ本人と相談して決めましょう。
伊丹市のいたみいろどり整体院では、側弯症のご相談でも、学校や日常生活でどんなことに困っているかを大切にしています。
ただし、整体は医療機関での診断や経過観察、装具療法の代わりにはなりません。必要な診療を続けながら、その子が無理なく過ごせる方法を考えていきます。
目指したいのは、一日中姿勢を気にしている学校生活ではなく、安心して授業や友達との時間を過ごせることです。
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