ウサイン・ボルトも側弯症だった?スポーツを諦める前に知ってほしいこと

世界最速の男として知られるウサイン・ボルト選手。

実は、ボルト選手自身が側弯症について公に語っています。

World Athleticsの記事では、ボルト選手が側弯症について、陸上選手としては影響が大きくなる可能性があり、状態を保つために努力しているという趣旨の発言をしています。

また、走りの左右差についても研究や分析の対象になってきました。

それでもボルト選手は、100mと200mで世界記録を打ち立て、世界の頂点で競技を続けました。

この話から伝えたいのは、

「側弯症があっても、スポーツの可能性が最初からなくなるわけではない」

ということです。

ただし、ボルト選手が走れたのだから、すべての側弯症の子どもが同じように運動してよい、という意味ではありません。

側弯の種類、Cobb角、成長段階、痛み、治療内容、競技特性は一人ひとり違います。

ボルト選手の例を希望として受け取りつつ、そのまま自分の子どもへ当てはめないことが大切です。

ボルト選手の側弯症は本人も語っている

ボルト選手の側弯症は、インターネット上のうわさだけではありません。

World Athleticsが2011年に掲載した記事では、ボルト選手の側弯症が以前から知られている状態として紹介され、本人も「陸上選手である自分にとっては深刻になり得る」「状態を抑えるため努力している」という趣旨で話しています。

別のインタビューでは、体幹と背中を強く保つことで、側弯症があまり気にならなくなるという趣旨の発言も紹介されています。

一方、腰やハムストリングに問題を抱えた時期があったことも報じられています。

ただし、ここは慎重に考える必要があります。

公開されている情報だけで、特定の故障がすべて側弯症によって起きたとは断定できません。

短距離走は、側弯症の有無にかかわらず、ハムストリングなどへ大きな負荷がかかる競技です。

そのため、

「ボルト選手は側弯症だったから故障した」

と単純化するのは適切ではありません。

走りに左右差があったことも研究されている

ボルト選手の走りでは、左右の脚がまったく同じ働きをしていなかった可能性が、走行映像や力学的分析から指摘されています。

また、世界トップレベルの短距離選手を対象にした研究でも、走りの左右差は珍しいものではなく、左右差の大きさと記録や故障歴が単純には結びつかないという報告があります。

ここから分かるのは、**左右差があるだけで、すぐに能力が低い、故障しやすいとは言えない**ということです。

ただし反対に、左右差はすべて放置してよい、とも言えません。

痛みが出ている。力が入りにくい。疲労が片側に集中する。以前と動きが変わっている。

こうした場合は、評価や調整が必要です。

「左右差があるか」だけではなく、**その左右差によって本人が困っているか、競技動作へどのような影響が出ているか**を見る必要があります。

ボルト選手から学べるのは「同じ身体を作ること」ではない

ボルト選手と同じトレーニングをすればよい。

左右差は直さなくてよい。

体幹を鍛えれば、どの側弯症でも競技を続けられる。

そういう話ではありません。

学べるとすれば、診断名だけで可能性を決めず、自分の身体の特徴を理解しながら必要な準備を続けたことです。

側弯症の子どもに置き換えるなら、

– 自分のカーブや成長段階を知る
– 医師から運動制限が出ていないか確認する
– 胸郭や呼吸の動きを見る
– 股関節や足元が使えているか確認する
– 競技後の痛みや疲労を記録する
– 必要な筋力や身体のコントロールを練習する
– 睡眠や栄養を含めて回復する

ということです。

その子の身体で、どう安全に競技を続けるかを考えます。

側弯症だからスポーツ禁止、とは限りません

側弯症と診断された子どもの親御さんから、

「バスケットボールはやめた方がいいですか?」

「テニスは左右差が強くなりませんか?」

「陸上は背骨に悪いですか?」

と聞かれることがあります。

Scoliosis Research Societyは、痛みがなく、医師から個別の制限を受けていなければ、側弯症の子どもが好きな運動やスポーツを続けることは一般的に有益だと案内しています。

つまり、側弯症という診断だけで、すべての競技を一律に禁止する必要はありません。

ただし、

– 強い痛みがある
– しびれや筋力低下がある
– 手術後で復帰途中である
– 医師から制限を受けている
– 装具との関係で注意事項がある
– 別の病気やけがを合併している

場合は、主治医の指示を優先してください。

「側弯症なら運動してよいか」ではなく、**今の状態で、その競技をどのように行うか**を個別に考えます。

競技を続ける前に確認したいこと

1. 医療機関で現在の状態を確認する

Cobb角、前回からの変化、成長の残り、装具の有無、運動制限を確認します。

成長期でカーブが進んでいる場合と、成長が落ち着いて角度も安定している場合では、同じ競技でも注意点が変わる可能性があります。

2. 痛みやしびれがないか

練習中だけでなく、練習後、翌朝、学校で座っている時も確認します。

しびれ、力の入りにくさ、歩きにくさがある場合は、「側弯症だから」と自己判断せず整形外科へ相談してください。

3. 競技特性を知る

テニスや野球では同じ方向への回旋、バスケットボールやバレーボールではジャンプと着地、陸上短距離では高い速度での反復動作が多くなります。

競技が悪いのではなく、どの動作が多いかを知り、その子がどこで疲れやすいかを見ます。

4. 練習量と回復を見る

部活動、クラブチーム、自主練習が重なり、休む日がなくなっていないかを確認します。

成長期は学校生活だけでも負担があります。睡眠や食事が不足していると、練習から回復しにくくなります。

見るのは「左右対称か」だけではありません

側弯症の身体を評価する時、左右差は大切な情報です。

しかし、左右差をすべてゼロにすることだけを目標にすると、本人の動きやすさを失うことがあります。

例えば、肩の高さを無理にそろえようとして首へ力を入れる。骨盤を正面に向けようとして腰を固める。腕振りを同じにしようとして走りのリズムを崩す。

見た目はそろっても、競技動作が楽になるとは限りません。

確認したいのは、

– 必要な方向へ胸郭が動くか
– 呼吸を止めずに力を出せるか
– 股関節で回旋や着地を受けられるか
– 足裏で安定して支えられるか
– 体幹で動きをコントロールできるか
– 疲れてもフォームが大きく崩れないか
– 同じ場所に痛みや疲労が集中しないか

です。

見た目の対称性と、競技で必要な機能を分けて考えることが大切です。

「体幹を鍛えれば大丈夫」でもありません

ボルト選手が体幹や背中の強さについて話しているため、側弯症には体幹トレーニングをすればよいと考える方もいるかもしれません。

しかし、「体幹」という言葉は幅が広く、プランクや腹筋運動を増やせばよいわけではありません。

呼吸を止めて強く固める。腰を反らせたまま耐える。痛みを我慢して回数を増やす。

これでは、目的と合わないことがあります。

必要なのは、競技やカーブの特徴に合わせて、

– 呼吸しながら支える
– 手足を動かしても体幹を保つ
– 回旋や着地をコントロールする
– 疲れた時にも動きを崩しすぎない

能力を段階的に練習することです。

側弯症に特化した運動を指導されている場合は、その内容を優先し、自己流で左右別々の筋トレを追加しないでください。

練習後の身体を見る

競技中は集中しているため、痛みや疲れに気づきにくいことがあります。

練習後の60秒で、次の三つを確認してください。

1. 痛みが出ていないか
2. 片側だけ強く張っていないか
3. 立ち方や歩き方が練習前と変わっていないか

毎回細かく採点する必要はありません。

「今日は右腰が張る」

「練習後は左脚に乗りにくい」

「翌朝まで背中が痛い」

同じ変化が続くなら、練習量、技術、補助運動、休息を見直すきっかけになります。

スポーツを休む、受診する目安

次のような場合は、無理に練習を続けず、主治医や整形外科へ相談してください。

– 痛みが強い、または悪化している
– 痛みが練習後や翌日まで続く
– 腕や脚にしびれがある
– 力が入りにくい
– 歩き方が変わった
– 夜間も痛い
– 呼吸が苦しい
– 転倒や衝突後から痛む

休むことは、可能性を諦めることではありません。

原因を確認し、回復してから安全に戻るための判断です。

復帰時期や活動制限は、診察所見、競技、けがの状態などを踏まえて医師が判断します。

装具療法中のスポーツ

装具を使用していても、必ずスポーツをやめなければならないわけではありません。

ただし、装具を着けたまま行うのか、運動中は外すのか、外した時間をどう扱うのかは、装具や治療方針によって異なります。

自己判断で装着時間を減らさず、主治医や装具を担当する専門職へ確認してください。

汗による皮膚トラブル、当たり、呼吸のしにくさ、競技用具との干渉なども相談できます。

子どもの「やりたい」を置き去りにしない

部活動やスポーツは、身体を動かすだけの時間ではありません。

友達との関係、自信、目標、進路に関わることもあります。

側弯症と分かった時、本人より先に大人が、

「危ないからやめよう」

「背骨に悪そう」

と決めてしまうと、子どもは身体のことを話さなくなることがあります。

まず、

「続けたい?」

「今、困っている動きはある?」

「練習後にどこがつらい?」

と聞いてください。

続けるか、やめるかの二択ではなく、練習量を調整する、役割を変える、治療期間だけ休む、復帰手順を作るなど、間に多くの選択肢があります。

伊丹市で側弯症とスポーツについてお悩みの方へ

兵庫県伊丹市のいたみいろどり整体院では、整形外科で側弯症と診断された子どもや経過観察中の方について、呼吸、胸郭、骨盤、股関節、足元、競技動作などを確認しています。

伊丹市だけでなく、尼崎市、宝塚市、川西市など周辺地域からご相談いただくこともあります。

ただし、スポーツの医学的な可否、Cobb角の変化、装具や手術後の復帰時期は整体院では判断できません。痛みや神経症状がある場合も、まず整形外科で確認してください。

医療機関で必要な評価を受けながら、その子がスポーツを続けるためにどの部分を整えればよいかを考えます。

当院の側弯症に対する考え方は、
[側弯症施術ページ](https://itami-irodori-seitai.com/scoliosis_method/)でもご案内しています。

まとめ

ウサイン・ボルト選手が側弯症について公に語りながら、世界最高峰で競技を続けたことは事実です。

ただし、その成功例から、

– 側弯症はスポーツをすれば治る
– 左右差は放置してよい
– 体幹を鍛えれば誰でも競技を続けられる
– 痛みや故障はすべて側弯症が原因

とは言えません。

学べるのは、診断名だけで可能性を閉じず、自分の身体を理解しながら必要な準備を続けることです。

側弯症だから、できない。

側弯症でも、絶対にできる。

どちらも先に決めつけないでください。

今の身体、成長、競技、症状を確認し、その子に合った続け方を考えることが大切です。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としています。運動制限、装具、競技復帰については主治医の指示を優先してください。

### 参考資料

– [World Athletics「Usain “fit and ready”」](https://worldathletics.org/competitions/diamond-league/news/usain-fit-and-ready-samsung-diamond-league)
– [Scoliosis Research Society「Living with Scoliosis」](https://www.srs.org/Patients/Diagnosis-And-Treatment/Living-with-Scoliosis)
– [PubMed「Asymmetry in sprinting: An insight into sub-10 and sub-11 s men and women sprinters」](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34587293/)
– [PubMed「Kinematic stride cycle asymmetry is not associated with sprint performance and injury prevalence in athletic sprinters」](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28759127/)

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