側弯症のために、毎日10分ほど体操を続けている。
これはとても大切なことです。
特に、医師や側弯症に詳しい理学療法士などから、その子のカーブに合わせた運動を教わっている場合は、指示された方法を継続する意味があります。
ただ僕は、10分の体操と同じくらい、**残り23時間50分をどう過ごしているか**も見てほしいと思っています。
学校で何時間も同じ姿勢になっていないか。
スマホを見る時、いつも同じ方向へ身体をねじっていないか。
立つと片脚ばかりに体重を乗せていないか。
カバンを毎日同じ肩で持っていないか。
部活動で同じ方向の動きを繰り返した後、片側だけ強く張っていないか。
もちろん、こうした生活習慣が側弯症の原因だという話ではありません。また、日常の姿勢を変えればCobb角が改善する、とも言い切れません。
見る目的は、すでにある身体の左右差に対して、どこへ痛みや疲れが集まっているかを知ることです。
目次
体操の10分を否定する話ではありません
「残り23時間50分が大事」と聞くと、体操は意味がないように感じるかもしれません。
そうではありません。
側弯症に特化した運動療法では、三次元的な自己修正、呼吸、安定性などを練習し、それを日常生活の動作へつなげていく考え方があります。
つまり、体操の時間は、身体の使い方を覚える練習時間です。
その練習で感じたことを、学校で座る時、立つ時、歩く時などにも少し思い出せると、体操と日常が切り離されにくくなります。
ただし、動画で見つけた体操を自己流で増やしたり、左右差だけを見て一方向へ強くひねったりするのは避けたいところです。
側弯症のカーブは人によって違います。処方された運動がある場合は、教わった内容と回数を優先してください。
「23時間50分ずっと良い姿勢」は必要ありません
ここも大切です。
残りの時間を見るとは、一日中、背筋を伸ばして過ごすことではありません。
子どもの姿勢を親御さんがずっと監視することでもありません。
人の身体は動くようにできています。どれだけ見た目の良い姿勢でも、長時間続けば疲れます。
大切なのは、
– 同じ姿勢を続けすぎない
– 片側に偏っていることへ時々気づく
– 疲れた時にどちらへ崩れやすいか知る
– 痛みやしびれが出る前に姿勢を変える
– 休息、睡眠、食事も含めて回復できるようにする
ということです。
「真っすぐを保つ」よりも、「固まり続けない」と考える方が現実的です。
学校で長く座る時間
成長期の子どもは、授業、塾、宿題などで長く座ります。
座っている時に見たいのは、良い姿勢ができているかではありません。
– 足裏が床または足台についているか
– 机が高すぎて肩が上がっていないか
– 片側のお尻だけに体重を乗せ続けていないか
– いつも同じ肘をついていないか
– 痛みが出るまで我慢していないか
です。
20~30分ごとに一度姿勢を変える方法もありますが、これは一例です。10分でつらくなる子もいれば、もう少し長く座れる子もいます。
時間を厳密に管理するより、休み時間に立つ、教科書を取りに行く、肩の力を抜いて呼吸するなど、小さく動くきっかけを作ってください。
スマホを見る時のクセ
スマホを見ること自体が側弯症の原因ではありません。
ただ、ソファでいつも同じ肘をつく、横向きで同じ側を下にする、片手だけで長時間持つなど、同じ形が続くと首や肩、背中が疲れることがあります。
次のような工夫なら、無理なく取り入れられます。
– 時々持つ手を変える
– 画面を見る高さを少し上げる
– 同じ向きの横座りを長く続けない
– 動画の区切りで一度立つ
– 首や背中に痛みが出る前に休む
スマホを禁止するより、同じ姿勢のまま長く固まらない仕組みを考える方が続きやすいと思います。
立っている時の片脚荷重
歯磨き中、信号待ち、友達と話している時など、気づくと毎回同じ脚に体重を乗せている子がいます。
左右差があること自体を責める必要はありません。
「また右に乗っている」と注意するより、
「疲れてくると右に乗りやすいんだな」
と本人が知ることが最初です。
時々両足へ体重を戻す。反対側にも無理のない範囲で乗ってみる。一度歩いてから立ち直す。
その程度で構いません。
左右を完全に50対50へそろえ続けることが目的ではなく、同じ側へ固定される時間を減らすことが目的です。
カバンやリュック
重いカバンが側弯症を起こしたり、カーブを悪化させたりするとは示されていません。
それでも、毎日同じ肩で手提げを持つ、リュックの片方だけをかける、荷物が重くて身体を大きく前へ倒す状態は、肩や背中の疲れにつながることがあります。
両方の肩紐を使う。リュックを背中へ近づける。不要な物を出す。学校に置ける教材がないか相談する。
こうした工夫で、通学中の余計な負担を減らせることがあります。
部活動や運動
側弯症だから、すべての運動や部活動をやめる必要があるわけではありません。
痛みがなく、医師から制限を受けていなければ、身体を動かすことは一般的に勧められます。
ただし、野球、テニス、バドミントンなど同じ方向への回旋を繰り返す競技や、ジャンプ、着地、反る動きが多い競技では、練習後の身体も確認してください。
– 片側の背中や腰だけ強く張る
– 練習後に肩の高さが目立つ
– 片脚に乗りにくい
– 痛みが翌日まで続く
– しびれや力の入りにくさがある
同じ変化が続くなら、練習量、休息、身体の使い方を見直すきっかけになります。
痛み、しびれ、筋力低下がある場合は、無理に続けず整形外科へ相談してください。
睡眠と回復も「残りの時間」に含まれます
日常生活を見るというと、座り方や立ち方ばかりに目が向きます。
しかし、睡眠、食事、休息も大切です。
夜更かしが続く。朝食を抜く。部活動後も休めない。疲れているのに体操を増やす。
これでは、身体が回復する時間を確保しにくくなります。
体操を休んではいけないと追い詰めるのではなく、体調が悪い時は指導者へ相談する。痛みがある時は原因を確認する。必要な睡眠や食事を取る。
身体を整えるためには、動くことと同じくらい回復することも必要です。
毎日すべてを直そうとしない
日常生活のクセをいくつも挙げると、親御さんは全部直さなければと感じるかもしれません。
しかし、子どもに一日中、
「姿勢が悪い」
「脚を組まない」
「肩が上がっている」
と言い続けると、身体のことを見られるのが嫌になることがあります。
一度に変えるのは一つで十分です。
今週は勉強の休憩だけ。次はリュックの中身だけ。部活後に張る場所を聞くだけ。
本人が自分で気づける仕組みにする方が、長く続きます。
記録は簡単でいい
毎日の状態を細かく採点する必要はありません。
週に数回、
– 今日はどこが疲れたか
– 痛みや張りはあったか
– 何をしている時につらかったか
– 休むと変わったか
を一言だけ残します。
「塾で1時間座ると右腰が張った」
「部活後、左肩だけ重かった」
「今日は途中で立ったら楽だった」
このくらいで十分です。
同じサインが繰り返す場合は、次の診察や運動指導で具体的に伝えやすくなります。
経過観察や装具療法を日常ケアで置き換えない
日常生活を見直していても、医療機関での経過確認は必要です。
側弯症の進行は、姿勢の見た目や痛みだけでは判断できません。Cobb角、成長の残り、前回からの変化などを医師が総合的に確認します。
装具を指示されている場合も、「生活に気をつけているから装着時間を減らしてよい」と自己判断しないでください。
体操、日常生活の工夫、装具、定期受診は、それぞれ役割が違います。
必要な医療を受けながら、普段の生活で減らせる負担を考えることが大切です。
伊丹市で子どもの側弯症や日常生活が気になる方へ
兵庫県伊丹市のいたみいろどり整体院では、側弯症と診断された子どもや経過観察中の方について、背骨だけでなく、呼吸、胸郭、骨盤、股関節、足元、座り方や歩き方なども確認しています。
伊丹市だけでなく、尼崎市、宝塚市、川西市など周辺地域からご相談いただくこともあります。
ただし、側弯症の診断、Cobb角の測定、進行の判断、装具の着用方針は整体院では決められません。学校検診で指摘された場合や、左右差が強くなった場合、痛みやしびれがある場合は、まず整形外科で確認してください。
当院の側弯症に対する考え方は、
[側弯症施術ページ](https://itami-irodori-seitai.com/scoliosis_method/)でもご案内しています。
まとめ
1日10分の体操は大切です。
ただ、その10分だけ身体と向き合い、残りの時間は痛みや疲れを我慢するのではもったいないと思います。
– 同じ姿勢を続けすぎない
– 片側へ偏る場面に気づく
– 疲れた時の崩れ方を知る
– 部活動後の身体を確認する
– 睡眠、食事、休息を確保する
残り23時間50分を見るとは、ずっと良い姿勢を保つことではありません。
体操で覚えたことを日常へ少しつなげ、痛みや疲れが集まる場面を減らしていくことです。
側弯症は、特別な10分と普通の一日を切り離さずに考えてください。
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※本記事は一般的な情報提供を目的としています。運動内容や装具の使用は、主治医や担当する専門職の指示を優先してください。
### 参考資料
– [日本整形外科学会「側弯症」](https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/scoliosis.html)
– [2016 SOSORT Guidelines](https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5795289/)
– [Scoliosis Research Society「Living with Scoliosis」](https://www.srs.org/Patients/Diagnosis-And-Treatment/Living-with-Scoliosis)
– [Scoliosis Research Society「Adolescent Idiopathic Scoliosis Handbook」](https://www.srs.org/Files/Patient-Brochures/Patient.Adolescent_Idiopathic_Scoliosis_Handbook_for_Patients.pdf)
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