側弯症と伝えられたお子さんについて、親御さんからよく聞かれる質問があります。
「部活はやめた方がいいですか?」
「運動は控えた方がいいですか?」
「続けたら悪化しませんか?」
心配になる気持ちはよく分かります。
ただ、側弯症だからという理由だけで、すぐに部活やスポーツをすべてやめる必要があるとは限りません。
Scoliosis Research Society(SRS)も、痛みがなく、医師から特別な指示を受けていない場合は、好きな活動やスポーツを続けられることが多いと説明しています。
一方で、痛みが強い場合や、医師から運動制限を受けている場合は、その指示が最優先です。
大切なのは、やめるか続けるかをすぐに決めることではありません。
今の身体で、どのように続けると負担を減らせるのかを確認することです。
目次
側弯症だから運動は全部だめ、とは限りません
スポーツ活動が側弯症の原因になったり、カーブを悪化させたりするわけではないと、SRSの患者向け資料でも説明されています。
そのため、側弯症と分かった瞬間に、すべての運動を禁止する必要があるとは限りません。
部活動には、身体を動かすこと以外にも意味があります。
友達と過ごす時間になる。
練習を通して自信がつく。
生活リズムが整う。
本人にとって大切な居場所になる。
特に成長期のお子さんにとって、部活を続けたいという気持ちは、身体の状態と同じくらい大切にしたい部分です。
ただし、「続けることが正解」と決めつける必要もありません。
痛み、疲労、練習量、競技の動き、医師の指示を見ながら、その時の身体に合わせて調整していきます。
部活をやめる前に、まず確認したい6つのこと
1. 痛みがあるか
練習中だけでなく、練習後や翌朝にも痛みが残っていないかを確認します。
「少し張る」程度なのか、「動くのがつらい」ほどなのかで、対応は変わります。
痛みを我慢して続けることはおすすめできません。痛みが繰り返す場合は、練習量を調整しながら医療機関へ相談してください。
2. しびれや力の入りにくさがないか
背中や腰の痛みだけでなく、足のしびれ、力の入りにくさ、歩きにくさがある場合は、自己判断で部活を続けないでください。
側弯症の経過観察とは別に、神経の状態を確認する必要がある場合があります。
3. 医師から運動制限を受けていないか
側弯症の角度、原因、年齢、治療内容によって、医師から個別の指示が出ることがあります。
装具を使っている場合や、手術後の場合も、運動の種類や再開時期が個別に決まることがあります。
「友達は運動しているから大丈夫」とは考えず、主治医からの指示を確認してください。
4. 練習後の疲れが翌日まで残っていないか
疲れること自体は自然です。
ただ、毎回翌日まで強い疲れが残る、学校生活に支障が出る、練習のたびに身体が重くなる場合は、練習量や休息が合っていない可能性があります。
5. 左右どちらかだけに負担が集中していないか
練習後に片側の背中や腰、股関節だけが張る。片足だけ痛がる。片側の肩だけが上がる。
このような左右差が続く場合は、競技の動きや身体の使い方を見直す材料になります。
6. 睡眠や食事が足りているか
練習量が多い時期に、睡眠時間が短く、朝食や夕食の量も少ない状態が重なると、疲れが抜けにくくなることがあります。
部活の問題に見えても、実際には休息や食事が足りていないこともあります。
競技の種類だけで、危険かどうかは決められません
「このスポーツは側弯症に悪いですか?」と聞かれることがあります。
でも、競技名だけで続けてよいか、やめるべきかを決めることはできません。
同じ競技でも、ポジション、練習内容、時間、フォーム、身体の状態によって負担は変わります。
たとえば、次のような動きが多い場合は、身体の反応を丁寧に見てください。
– 片側への回旋を繰り返す
– 腰や背中を反る動きが多い
– ジャンプや着地を繰り返す
– 重い道具を持つ時間が長い
– 長時間、同じ姿勢を続ける
– 疲労が強い状態で同じ動きを繰り返す
これらの動きがあるから、すぐに部活をやめるという意味ではありません。
痛みが出る場面や、左右差が強くなる動きを把握して、練習の合間に休む、フォームを見直す、動きの量を調整するなどの工夫につなげます。
具体的な制限が必要かどうかは、主治医や理学療法士、指導者と相談してください。
指導者にも、必要な情報だけ共有しましょう
部活動を続ける場合、顧問やコーチに側弯症のことを伝えるか迷うこともあると思います。
すべての情報を詳しく伝える必要はありません。
まずは、次のような内容を共有できると安心です。
– 医師から運動制限が出ているか
– 痛みが出やすい動きがあるか
– 休憩が必要な場合があるか
– しびれや息苦しさが出た時は中止すること
– 装具を使用している場合の取り扱い
「側弯症だから特別扱いしてください」と伝えるよりも、「この動きで痛みが出ることがあるので、症状が出たら休ませてください」と具体的に伝える方が、練習の中で対応してもらいやすくなります。
部活を続けるために、家庭で見てほしいこと
部活の日は、練習中だけでなく、帰宅後から翌朝までの様子も確認してください。
– 練習後に痛みが残っていないか
– 片側だけ張っていないか
– お風呂や睡眠で回復しているか
– 翌日の学校生活に影響がないか
– 食事や水分が摂れているか
– 部活に行くこと自体を嫌がっていないか
「今日の練習はどうだった?」だけでは、子どもは「大丈夫」と答えて終わることがあります。
「どの動きが一番きつかった?」
「右と左で違うところはあった?」
「帰ってから痛いところはある?」
と聞くと、身体の変化を話しやすくなる子もいます。
ただし、毎日細かく聞きすぎると、子どもが身体を気にしすぎることもあります。普段との違いがないかを、自然に見守るくらいから始めてください。
痛みを我慢して続ける必要はありません
側弯症だから部活をやめる必要はない場合でも、痛みを我慢して続けることはおすすめできません。
次のような場合は、運動をいったん中止し、整形外科などの医療機関へ相談してください。
– 背中や腰の痛みが強い
– 痛みが練習後や翌日まで続く
– 足や手のしびれがある
– 力が入りにくい、歩きにくい
– 息苦しさや胸の痛みがある
– 急に姿勢や歩き方が変わった
– 痛みで学校生活や睡眠に支障が出ている
– 医師から運動を控えるよう指示されている
「休むと遅れてしまう」「レギュラーから外れるかもしれない」と不安になることもあると思います。
でも、早めに状態を確認することは、長く続けるためにも大切です。
側弯症の経過観察中も、レントゲンの確認は続けてください
部活を続けられていることと、側弯症のカーブが進んでいないことは、同じではありません。
痛みがなく、元気に運動できていても、側弯症の状態はレントゲンなどで確認します。
反対に、痛みがあるからといって、側弯症のカーブが進んだと決めつけることもできません。
病院で経過観察と言われている場合は、主治医から案内されている受診や検査の時期を優先してください。
部活を続けるかどうかは、Cobb角だけでなく、側弯症の種類、成長の状態、治療内容、症状を合わせて判断します。
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「側弯症と言われたけれど、部活を続けてよいか不安」
「練習後に片側の背中や腰だけが張る」
「経過観察中の子どもの身体の使い方を知りたい」
「部活をやめる前に、できる工夫を考えたい」
このような場合は、競技をすぐにやめるかどうかだけでなく、どの動きで負担が出るのか、休むと戻るのか、翌日に残るのかを整理してみてください。
当院で確認できるのは、身体の使い方や日常動作の左右差です。側弯症の診断、Cobb角の確認、運動制限や装具などの治療方針については、整形外科など医療機関での検査と診察が基本です。
側弯症の子に必要なのは、運動をすべて奪うことではありません。
今の身体で、どう続けるか。
どこを調整すれば負担が減るか。
痛みや症状がある時に、どこへ相談するか。
これを一緒に考えることが大切です。
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※この記事は、側弯症の診断や治療、運動許可の判断を行うものではありません。部活動や運動の可否は、側弯症の種類、症状、治療内容、年齢などによって異なります。痛み、しびれ、力の入りにくさ、息苦しさ、急な姿勢の変化がある場合や、医師から制限を受けている場合は、自己判断で運動を続けず医療機関へご相談ください。
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