側弯症を見る時に、背骨の角度ばかり見ていないでしょうか。
もちろん、Cobb角は大切です。
レントゲンで現在の状態を確認することも、経過を追うことも欠かせません。
ただ、側弯症のお子さんの身体を考える時、僕は日々の食事や栄養状態も一緒に見てほしいと思っています。
その中で、まず確認しやすいのがタンパク質です。
最初にお伝えしておくと、タンパク質を摂れば側弯症が治る、という単純な話ではありません。
側弯症のカーブや進行を、食事だけで判断することもできません。
それでも成長期のお子さんにとって、食事からエネルギーや栄養素を摂ることは、成長や日々の体力を支える土台になります。
目次
タンパク質は、身体を作る材料のひとつです
タンパク質は、筋肉だけでなく、骨や皮膚、血液など、身体のさまざまな組織を作る材料のひとつです。
成長期のお子さんは、身長が伸び、筋肉や骨格も変化していきます。
学校生活や部活動で身体を動かす量が多ければ、食事から必要なエネルギーや栄養を摂れているかを確認することも大切です。
側弯症では、背骨のカーブだけでなく、肋骨や胸郭、骨盤、股関節、足元など、身体全体の使い方を見ていくことがあります。
その身体を日々動かすためには、筋肉や体力も関係します。
だからといって、タンパク質が少ないことが側弯症の原因になるわけではありません。
また、タンパク質を増やせば、側弯症のカーブが小さくなるわけでもありません。
「背骨の状態」と「成長期の身体に必要な栄養」は、分けて考える必要があります。
こんな食事になっていないか確認してください
お子さんの食事を、毎日細かく記録する必要はありません。
まずは、普段の様子を思い返してみてください。
– 朝ごはんはパンや飲み物だけで終わることが多い
– 昼食や夕食の量が少ない
– 肉、魚、卵、大豆製品、乳製品をあまり食べない
– お菓子やジュースでお腹がいっぱいになる
– 部活の後に何も食べず、そのまま寝てしまう
– 体重を気にして食事を減らしている
– 食べたいのに、食欲がなくて食べられない
ひとつ当てはまっただけで、タンパク質不足や栄養不足と決めつけることはできません。
食事量は、年齢、体格、活動量、体調、家庭の食習慣によって変わります。
ただ、いくつも当てはまる場合や、以前より食べる量が減っている場合は、一度食事全体を見直してみてもよいでしょう。
成長期は、身体の変化が重なります
特に成長期の女の子は、身長が伸びることに加えて、月経が始まるなど、身体の中で大きな変化が起きます。
学校や部活動での活動量が多い時期に、食事量まで減ってしまうと、疲れやすさや体力の低下につながることがあります。
たとえば、次のような変化です。
– 以前より疲れやすい
– 朝起きるのがつらい
– 集中力が続かない
– 運動後の回復に時間がかかる
– 筋力が落ちたように感じる
– 体重が意図せず減っている
– 月経の乱れや体調不良がある
これらは栄養だけでなく、睡眠不足やストレス、病気などでも起こります。
症状が続く場合は、側弯症のケアだけで判断せず、小児科や婦人科、管理栄養士などに相談してください。
「姿勢が悪いから疲れている」と決めつけないことも大切です。
タンパク質は何から摂ればいい?
タンパク質を含む食品には、次のようなものがあります。
– 卵
– 魚
– 肉
– 牛乳やヨーグルトなどの乳製品
– 豆腐、納豆などの大豆製品
毎食、特別な料理を用意する必要はありません。
たとえば、朝食がパンだけなら、卵やヨーグルトを加える。おにぎりだけで終わりやすいなら、牛乳や豆腐のみそ汁を組み合わせる。
部活動の後に食欲がない時は、少量のヨーグルト、牛乳、豆乳、卵料理など、食べやすいものを選ぶ方法もあります。
ただし、乳製品や大豆製品などが体質に合わない場合もあります。食物アレルギー、腎臓の病気、食事制限がある場合は、自己判断で食品やサプリメントを増やさず、医師や管理栄養士に確認してください。
大切なのは、タンパク質だけを増やすことではありません。
主食、主菜、副菜を含めて、食事全体で必要なエネルギーや栄養を摂ることです。
「毎食タンパク質」を厳密に考えすぎなくて大丈夫です
「毎食必ずタンパク質を入れないといけない」と考えると、親御さんの負担が大きくなることがあります。
一日単位で見ると、食べられる時と食べにくい時があるのは自然です。
まずは、朝・昼・夜のどこかで不足しやすい食事を見つけることから始めてください。
朝食が少ないなら朝に小さく足す。部活動後に何も食べないなら、帰宅後すぐに食べられるものを用意する。
このように、続けやすいところから整えていけば十分です。
お子さんが食べられない理由も確認してください。
朝は時間がないのか、胃が受けつけないのか、学校で食べにくいのか、体重を増やしたくないと思っているのか。
理由によって、必要な対応は変わります。
「もっと食べなさい」と言うだけでは解決しないこともあります。
食事だけでなく、補食も大切です
学校や部活動があるお子さんは、三食だけで必要な量を摂るのが難しい場合があります。
その時は、食事と食事の間に補食を入れる方法もあります。
補食は、お菓子を完全に禁止するという意味ではありません。
おにぎり、ゆで卵、ヨーグルト、牛乳、豆乳、チーズ、果物など、お子さんが食べやすいものを組み合わせます。
帰宅後に夕食まで時間が空く場合や、部活動で夕食が遅くなる場合にも、無理のない範囲で活用できます。
ただし、運動量や食事量には個人差があります。具体的な量やタイミングは、成長や体調を見ながら、必要に応じて医療機関や管理栄養士へ相談してください。
側弯症の経過観察中も、食事だけで判断しないでください
側弯症の経過観察中に食事を見直すことは、成長期の身体を支える生活習慣を考えるきっかけになります。
ただし、食事を整えたからといって、側弯症のカーブが改善するとは限りません。
反対に、食事量が少ないから側弯症が進行した、とも簡単には言い切れません。
側弯症の状態や進行の有無は、整形外科での診察、レントゲン、Cobb角などを含めて確認します。病院で経過観察と言われている場合は、案内されている受診や検査の時期を優先してください。
食事について気になることがあれば、次のような内容をメモしておくと受診時に伝えやすくなります。
– 最近、食事量が減っている
– 体重が意図せず減っている
– 部活動の後に何も食べられない
– 疲れやすさや朝の起きにくさが続いている
– 月経の乱れや体調不良がある
– 食べることや体重への不安が強い
こんな場合は、早めに相談してください
次のような場合は、タンパク質を増やすだけで様子を見ないことをおすすめします。
– 体重が意図せず減り続けている
– 食事がほとんど摂れない状態が続いている
– 食後の腹痛や吐き気がある
– 強い疲れや息切れがある
– めまいや立ちくらみがある
– 月経が止まった、または大きく乱れている
– 食べることや体重への不安が強い
– 腎臓の病気や食物アレルギーなどで食事制限がある
成長期のお子さんの栄養は、体重や活動量、病気の有無によって考え方が変わります。自己判断で高タンパク食品やサプリメントを大量に追加するのではなく、必要に応じて小児科や管理栄養士へ相談してください。
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「経過観察中の子どもの食事が足りているか気になる」
「最近、疲れやすく姿勢を保つのがつらそう」
「部活動をしているけれど、食事や睡眠が追いついていない気がする」
このような場合は、背骨の角度だけでなく、毎日の食事量、活動量、睡眠、疲れ方も整理してみてください。
当院で確認できるのは、身体の使い方や日常生活での左右差です。側弯症の診断、Cobb角の確認、栄養状態の評価や食事指導、経過観察・装具などの治療方針については、整形外科や小児科、管理栄養士など専門機関での確認が基本です。
タンパク質は大切な栄養素のひとつです。
でも、タンパク質だけで側弯症を治すことはできません。
背骨の状態を確認しながら、成長期の身体全体を支える食事や睡眠、活動量も一緒に見ていくことが大切です。
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※この記事は、側弯症の診断や治療、栄養状態の評価を行うものではありません。タンパク質を摂ることだけで側弯症が治るわけではありません。食事が摂れない、体重減少、強い疲れ、月経の乱れ、食事への不安などがある場合は、自己判断せず医療機関や管理栄養士へご相談ください。
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